【更新情報】
2017年12月3日公開。
2019年1月9日更新。

 

浸した秒数に比例して、ワインが熟成後の味に変化するというクレ・デュ・ヴァン。
実際には熟成させるための器具ではなく、そのワインの飲み頃がどのくらい先になるのかを計測するためのグッズなんです。というわけで、今回はワインにどのくらいの変化を与えるのか実験してみました。

欧最優秀ソムリエ&醸造学者がつくった科学的ツール

ワインヌ先生
チャッチャラ~~!! クレ・デュ・ヴァ~~ン!!

まーくん
割りとマジでドラえもんの道具みたいですね
ワインヌ先生
だよな。
1秒につき1年熟成させた味にさせちゃう優れもの(※1)なんだぜっ!!

ただし、熟成させるためのものではない何本も同じワインがあるシャトーとかで1本を開けて、そのワインが何秒(何年)で飲み頃に達するかを測定するための器具なんだな

まーくん
なるほど
ワインヌ先生
どんなに優秀でもロバート・パーカーみたいに舌だけで「このワインは5年後が飲み頃です(ドヤァ」とかはなかなか難しいじゃん?

そこでヨーロッパの超優秀なソムリエのフランク・トーマス醸造家で研究者のロレンツォ・ザノンが、金、銀、銅の合金がワインに触れた際、タンニンや味わいが変化することを発見して、この科学的ツールをつくったんだと

※1 100ccを入れた場合。
まーくん
へーでも正確なんですかね?
ワインヌ先生
それがすごくて、95%間違いないんだと
まーくん
すげえ
ワインヌ先生
それと、安全性もばっちりとのこと。10年ワインにひたしてても金属溶け出なかったもよう
まーくん
安全性大事ですな

というわけで モンローズのセカンドワインに浸してみた

ワインヌ先生
金属部分・パスティーユがワインの分子構造に影響してタンニンなどに影響を与えて、X秒でX年後のワインの味に変化させるらしいがワインそのものが老化するというわけじゃない
まーくん
じゃあ、とりあえずやってみましょう!

ワインヌ先生
今回はラ・ダム・ド・モンローズ 2012ボルドーメドック2級のシャトー・モンローズのセカンドワイン(セカンドラベル)(※2)
モンローズ自体が人気だから美味しいかなと思って買ったんだが、2012は案の定、開けるのに時期尚早だったもよう
※2 ファーストと同じ畑、同じ醸造法でつくられています。違うのは新樽率と熟成期間。ファーストは60%で18カ月に対して、セカンドは30%で12カ月。ファーストは非常に評価が高く、スーパーセカンドのうちの1つとされています。それゆえに、ポテンシャルが高くて今回も早く開けすぎてしまったという結果に……。
まーくん
ですね……これは収斂性もバリバリだし、タンニンも固い。
でも、チョコレートの香りバッチリですね! ウマ~
ワインヌ先生
そーなんだよな~。サン・テステフ(※3)の特徴でもある濃厚なチョコの香りがすんごくて、プラムとかカシスも少々
しばらくすると樽熟のヴァニラも香ってくる。……のに固い、と
まーくん
そこで、クレ・デュ・ヴァンですね!
ワインヌ先生
その通り。

ちなみに、熟成しても美味しくならないワインに使っても、もちろん美味しくはならないから注意な

まーくん
では、いざ!!

ワインヌ先生
……
まーくん
……!
ワインヌ先生
!!  おお、1秒じゃ全然だな
まーくん
ですね~
でも、明らかに違う。ちょっとタンニンが丸くなった感じはありますね
ワインヌ先生
よし、次は2秒
まーくん
うーん、まだまだ。
3秒はどうかな……これもまだ
ワインヌ先生
お、5秒でようやくまろやかに! 秒数増やしてくと……8年くらいまではイケるな。
10秒やると、もう酸っぱい
まーくん
ですね~いや、でもホント不思議だな。
ラ・ダム・ド・モンローズの2012年は、とりあえず2022年以降に飲んだほうがいい(※4)ってことですね
ワインヌ先生
だな~覚えておこっと
※4 2012を開けてしまい、クレ・デュ・ヴァンが手元にない場合は、開栓後デキャンタージュ(専用のガラス瓶がなければカラフェでも何でもいいです)に入れて1時間半くらい室温で置いておいてください。そうすると少しずつ開いてくるかなという感じ。それでもまだ固いですが。

ちなみにお値段は……

ワインヌ先生
クレ・デュ・ヴァンの値段なんだが、だいたい1本1万くらい

 

まーくん
今、日本で手に入るやつはちょっと形が違いますね
ワインヌ先生
まあ、いろいろ持ち歩いて楽しんでみるもよし、家で楽しむもよし、ガチで1ダース買っちゃったから何年後に開けるのかベターか調べたいって人が実用的に使ってみてもいいかも
まーくん
今度はピノ・ノワールとヴィンテージつきのシャンパンもやってみましょうよ
ワインヌ先生
特にシャンパンとかおもしろいかもな~!

<参考>
Clef de vin-Wikipédia