発泡しているワインはすべてシャンパンだと思っている人も少なくありませんが、シャンパンだったりスパークリングワインだったりカバだったりするんです。
今回は、スパークリングワインの各国でのそれぞれの呼び名などについてご紹介します。
【更新情報】
2017年12月15日公開。
2019年1月11日更新。

 

ワインヌ先生
発泡してるワインはシャンパンだけじゃないって知ってる
まーくん
もちろん!
ワインヌ先生
じゃあ、その違いを説明してみようか
まーくん
はい!

シャンパンという名称はフランス・シャンパーニュ地方でつくられたもののみに使ってよくて、スパークリングワインはそれ以外です!

ワインヌ先生
あってるけど、……今回はそれについて詳しく説明するぜ

シャンパンとスパークリングワインの違い

ワインヌ先生
まず、シャンパンとはフランス北部のシャンパーニュ地方でつくられた発泡酒で、なおかつINAO(※)がAOCシャンパーニュとして認めた発泡酒のことだな。

ちなみに、シャンパーニュでは他にロゼ・ド・リセイコト-・シャンプノワ(※)っていう非発泡ワインもつくってる

※ I.N.A.O.。国立原産地名称研究所のことで、AOCの条件をとりきめる機関のこと。例えばシャンパンに使用可能な品種はシャルドネ~などですよ、って決めたりしています。
※ ロゼ・ド・リセイはロゼワインのみ、コト-・シャンプノワは赤・白・ロゼのワインがつくられています。
まーくん
へ~!
ワインヌ先生
シャンパンが世界でめちゃくちゃ売れたため、ニューワールドでも「○○シャンパン」(※)とかっていうワインを出したりもしたけど、ややこしい上に消費者がシャンパンと間違って買っちゃうことを懸念して使用が禁止されてる
※ アメリカの場合のセミ・ジェネリックワイン。欧州の有名ワインの名前が全く関係ないワインに販売量増加を狙って銘柄に含まれていたりしました。しかし、EUとの間に結ばれたワイン通商に関する二国間協定(2006年3月正式調印)により、新しく発売するワインにchampagneなど17のセミ・ジェネリック名称が禁止。ただし、2006年3月以前に販売されていたものに関しては、実際の原産地が併記されることを条件に販売を継続することが許可されています。
まーくん
たしかに、その「○○シャンパン」がまずかったらシャンパンの名前に傷がついちゃいますからねえ
ワインヌ先生
それに、フランスのAOCは「ワインはココの原料でつくってますよ!」ってことを明記して保証することで品質を保持するものだから、他国に名前使われちゃうとせっかく頑張って統制したものが無意味になる
まーくん
なるほど
ワインヌ先生
では本題。
さっき「シャンパン以外がスパークリングワイン」って言ったけど、半分間違い
シャンパンはスパークリングワインの一種なんだな
まーくん
え、そーなんですか!
ワインヌ先生
そう。

だから、全ての発泡ワインのことを“スパークリングワイン”と言う。その中にシャンパンや他のいろんなスパークリングワインが含まれるというわけ。

フランスだとスパークリングのことはヴァン・ムスー、シャンパン以外の高級スパークリングワインはクレマン(※1)って呼ばれることが多い

※1 クレマン・ド・ロワール、クレマン・ド・ブルゴーニュなど、これもAOCで品質が保証されているワインです。「うちのワインは高級!」と言って勝手に名乗れません。

カヴァ(カバ)って、どんなスパークリングワイン?


ワインヌ先生
そして、今大人気のカバ
これはスペインのワイン法で品質が保証されたスパークリングワインで「D.O.カバ」の表示がされているもののこと
まーくん
あ、たしかに書いてありますね!
ワインヌ先生
シャンパンと同じく瓶内二次発酵のトラディショナル方式でつくられた高級スパークリングワインだな。
使っていい品種が決まってて、さらに9カ月以上の瓶内熟成期間が法律で決まってる
ちなみに、シャンパンは15カ月以上
まーくん
スペインでカバ以外のスパークリングワインは何て言うんですか?
ワインヌ先生
エスプモーソって呼ばれるな。カバも含むスパークリングワインの意味な
まーくん
カバが人気なのって、やっぱりめちゃくちゃ安いからですよね
ワインヌ先生
そーだな、シャンパンに比べて半額~1/3以下の値段だし、1,000円切るものでも美味しいものが結構ある
まーくん
スパークリングワインのセットとかでも、よくカバが入ってますよね
ワインヌ先生
そうだな~やっぱりコスパが最強に高いし、ハズレも少ないから売り手も売りやすいのかもしれんな

様々なスパークリングワイン

ワインヌ先生
スパークリングワインは世界中で造られてるが、
例えばドイツはスパークリングワインのことをシャウムヴァインと呼ぶ。

そして、高級シャウムヴァインのことをゼクトと呼び、さらにドイツ産ブドウ100%のものはドイチャー・ゼクト、さらに13の栽培指定地域のブドウを使った場合はドイチャー・ゼクト・b.A(ベーアー)と呼ばれる

まーくん
細かい……!
ワインヌ先生
ただし、ゼクトはトラディショナル方式にかぎらず、「ガスは二次発酵により得られたもの」とされてるからトランスファー方式でもシャルマ方式のものもある(※)
※ トラディショナル方式の場合は「Flaschengarun nach dem Traditionellen Vrfahren」(フラッシェンゲールング・ナッハ・デム・トラディツィオネレン・フェアファーレン)の表示がある場合も。
まーくん
じゃあ、カバやシャンパンよりも広義のワインってことなんですね
ワインヌ先生
そういうだな。

あと、よく間違えられるのはスプマンテ
高級なものでなく、イタリアのスパークリングワイン全般をスプマンテと言う

まーくん
え! 僕、間違ってました……
ワインヌ先生
イタリアの場合はDOCが非常に細かいけど、高級なものだとプロセッコ、赤スパークリングのブラケット・ダックイ、フランチャコルタ、トレント(※)あたりが有名
※ プロセッコはヴェネト州、ブラケット・ダックイはピエモンテ州の甘口赤、フランチャコルタはロンバルディア州、トレントはトレンティーノ・アルト・アディジェ州の高級スパークリングワインです。
まーくん
ランブルスコ(※)はどうなんですか?
※ エミリア・ロマーニャ州、ロンバルディア州の一部でつくられている発泡ワイン。赤泡の人気が高い。D.O.C.に区分されるものが多い。
ワインヌ先生
瓶内二次発酵じゃないから高級とはいえないけど、カジュアルでさくっと飲めてファンは多いな。もちろん高級なものもある
まーくん
なるほど~!

高級なものと普通のスパークグワインの味の違いって何なんですか?

ワインヌ先生
やっぱり泡の細かさとコクが違う

トラディショナル、トランスファー、シャルマ、ガス注入(※4)の順に泡が雑になってくるように感じるし、長期間熟成されたものほど泡がゆっくり立ち上るためにクリーミーさが増す。

シャンパンとかクレマンの泡って、ガス入れた炭酸水と全然違うじゃん。あそこまでわかりやすくはないけど、そんな感じ

※ トランスファーは瓶内二次発酵ですが、ルミアージュとデゴルジュマン(動瓶と滓引き)を簡略化したもの。シャルマはタンク内で二次発酵させるもの。
まーくん
たしかにそうですね……!

じゃあ、コクとクリーミーな喉越しのスパークリングが飲みたいときは高級なトラディショナルのもの暑い日にさっぱりしたカジュアルな泡ワインが飲みたいならシャルマ方式のものでもいいって感じですね

ワインヌ先生
そういうことだな