毎年11月の第3木曜に解禁されるボジョレー・ヌーボーは100%ガメイでつくられるボジョレーの新酒のことです。フランスよりも日本のほうが解禁時間が8時間早いので、毎年我が国でもお祭り騒ぎになります。新酒は赤ワインとロゼワインだけですが、ヌーボーでなければシャルドネから造られた白ワインもつくられているんですよ。というわけで、今回はボジョレー・ヌーボーについて詳しくご紹介します。
【更新情報】
2017年11月13日公開。
2020年10月2日更新。

 

まーくん
ボジョレー・ヌーボー解禁日まであとちょっとですねえ
ワインヌ先生
な~。10月半ばすぎると、そろそろ今年のボジョレーの予約が始まるかなと思って楽しみにしてるぜ。それにしても、ボジョレー=新酒だって思ってる人が多い
まーくん
「ヌーボー」が新酒を意味するって日本人の何%が知ってるんでしょうね
ワインヌ先生
飲む分には別に間違えてても問題ないけど、知っといたら損はないよ! ってことで今回はボジョレー・ヌーボーがどんなワインなのかおさらいしようぜ

「ボジョレー」=地方、「ヌーボー」=新酒

ワインヌ先生
まず、「ボジョレー」はフランスにある地区名(※)。そんで「ヌーボー」はフランス語で新酒のこと
※ ブルゴーニュ地方、ボジョレー地区。ブルゴーニュには他に北からシャブリ、コート・ド・ニュイ、コート・ド・ボーヌ、コート・シャロネーズ、マコネの地区がある。
まーくん
とりあえず、これは知っておいたほうがいい情報ですね
ワインヌ先生
そうだな。ちなみに新酒はボジョレーだけが出してるわけじゃない。フランスでも18のAOCで新酒をつくることが許可されてる(※2)
※フランスの新酒はヴァン・ド・プリムールと呼ばれています。ボジョレー(+コミューン名)、ボジョレー・ヴィラージュ、コトー・ブルギニョン、ブルゴーニュ・アリゴテ、マコン(+コミューン名)、マコン・ヴィラージュ、コート・デュ・ローヌ、ヴァントゥー、トゥーレーヌ、ロゼ・ダンジュー、カベルネ・ダンジュー、カベルネ・ド・ソミュール、アンジュー・ガメイ、ミュスカデ、コート・デュ・リヨネ、ガイヤック、ラングドック、コート・デュ・ルーションの18AOCが認められています。
まーくん
でも、あんまり見ないですよね?
ワインヌ先生
そりゃ、日本はボジョレーのお得意さんだからな(※)
※ 全盛期はボジョレー・ヌーボーの7割が日本に輸入されていました。現在はその半分ほど。お祭り好きで流行好きな日本人の性質を見極めたマーケティングがなされ、派手に売られていました。

新酒と普通のワインとの違い

まーくん
新酒とワインって何が違うんですか?
ワインヌ先生
醸造方法が全然違う。

ヌーボーはその年に収穫されたブドウをすぐに飲みたいわけなんだが、時間がかかる

そこで、早飲みできるマセラシオン・カルボニック(MC法)っていう製法が適用される。これは皮を潰さずブドウ丸ごとステンレスタンクに入れ、炭酸ガスを注入して発酵させる製法だな。
赤い色素は出てるのにタンニンがより少なくて酸味も少ない、フレッシュなワインがすぐに出来上がるというわけ

まーくん
なるほど
ワインヌ先生
ちなみに、人工的にガスを注入しない伝統的な方法をマセラシオン・セミ・カルボニック(SMC法)という。タンクにどんどんブドウの房を入れてくと重みで下のほうのブドウが潰れてガスが発生し、それによって自然に発酵がはじまる
まーくん
味わいに違いってあるんでしょうかね?
ワインヌ先生
んー……大手がヌーボーに採用してるマセラシオン・ア・ショーっていう製法で造られたものは全然違うけど、SMC法とMC法だと味の違いがわかる人は少ないかもなあ。

酸っぱい! まずい! っていうやつは、マセラシオン・ア・ショー(※)のものが多いかも……

※ ブドウを房ごとタンクに入れて高温の蒸気で2~3時間加熱する製法。ブドウの天然酵母は死滅してしまうため、発酵のために人為的に酵母を足さなければいけない。短時間でワインを製造できますが、味は……。

格付け上位のボジョレー新酒はない

ワインヌ先生
ちなみにちょっと専門的な話になるが、いわゆる高格付けのボジョレーであるクリュ・デュ・ボジョレーはヌーボーをつくってない

ボジョレーは4段の階層にワインのランクがわかれていて、上からAOCがクリュ・デュ・ボジョレー、ボジョレー・ヴィラージュ、ボジョレー・シュペリュール、ボジョレーとなってる。

そのうちヌーボーをつくってるのはボジョレー・ヴィラージュとボジョレー。で、市場に出回ってるのはこれに加えてコミューン名(村名)が入ったボジョレーになる


まーくん
じゃあ、ムーラン・ナ・ヴァン(※)のヌーボーはないんですね
※ クリュ・デュ・ボジョレーは10の村が認定されている中でも特に質が高く人気も高い村。
ワインヌ先生
そういうこと。ボジョレー・ヌーボーが気に入ってさらに美味しいボジョレーが飲みたい人は、ワイン屋言って「クリュ・デュ・ボジョレーが飲みたい」って伝えればオッケー

お勧めの新酒は?

まーくん
あんまりボジョレー・ヌーボー好きじゃないんですが、お勧めのヌーボーってありますか?
ワインヌ先生
MC法を使うと、違う品種でも同じような甘くないバナナの風味がでちゃうからな……とはいえ、隣のマコンの新酒はお勧めかな。

あとは一足早く解禁されるイタリアの新酒“ヴィーノ・ノヴェッロ”(※)もいいぞ 。あとはラングドック(※7)のピノ・ノワールのもお勧め

※ 赤ワイン、白ワインともに40%以上MC法で醸したブドウを使用する必要がある。全20州でつくられています。
※ フランス南部中央。比較的安価で美味しいワインが多いです。
まーくん
ふむふむ。ちょっと気になったのチェックしてきます!