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【バニラ&ココナッツ香】ワインの「樽熟」「樽発酵」って何のこと?

ワインを発酵・熟成させるとまろやかな風味や味わいが生まれます。
でも、樽を使う場合は色々と考えなければならないこともあり……。
今回は樽の種類やその役割について、ご紹介したいと思います。
【更新情報】
2017年12月8日公開。
2019年5月31日更新。

 

ワインヌ先生
シャンパンってさ、あんまり樽が使われてないんだよな
まーくん
たしかに、ガッツリしたバニラとかココナッツ香って、しないですよね
ワインヌ先生
そう。
ジャック・セロスとかボランジェ、クリュッグ(※)とかはフレンチオーク樽を使ってるけど、少数派

 

※ 人気の高い高級ワイン。クリュッグ、ジャック・セロスは1本2万円以上します。ボランジェは6,000円前後。
まーくん
なんでなんですか?
ワインヌ先生
樽香はつけすぎると風味がぶち壊しになるし、少ないと意味ないし、樽自体が高価でコントロールが難しいから。

樽の風味がつけられるという利点の他、緩やかに酸化するっていう効果もあったから昔は主流だったんだが、今はそういう理由からステンレスタンクでの発酵が主流になったっぽい

まーくん
なるほど。シャンパンって酸味とキレのある泡の喉越しっていうさっぱり感がウリですね
ワインヌ先生
まあな。
温度上げてゆったりと濃いボリューミーなシャンパンを味わいたいって人は少数なのかも

樽を使用したワインの特徴

ワインヌ先生
基本的に瓶熟成と樽熟成は、中で起こってることが違う
まーくん
え、そーなんですか?
ワインヌ先生
瓶熟成した場合は、瓶内にある空気がなくなるまでは酸化だが、なくなってからは還元状態になってすっきりとしたフルーティーでフレッシュな風味が生まれる(※)。

一方で、樽熟成した場合は通気性のある樽材の中で熟成させるから常に空気に触れて酸化していく状態で、樽の香りも含まれてバニラやトーストといったまろやかで乳製品的な風味が生まれる

※ シャンパンの場合は、滓とともに寝かせる瓶内熟成が製造工程に含まれています。
まーくん
へ~!
ワインヌ先生
スティルワインならボルドーもブルゴーニュも高級ワインは樽熟成させることが多いから、知っておくとワイン飲んだときに「お!」って思うかも

フレンチオーク樽とアメリカンオーク樽の違い

ワインヌ先生
さらに、樽の種類でも味わいは変わってくる
樽は基本的に樫(オーク)から出来てるが、フレンチオーク樽とアメリカンオーク樽ではだいぶ味わいが違う
まーくん
あ、アメリカンオークのほうがバニラの香りが強いんですよね
ワインヌ先生
そうだな。北米で産出されててホワイトオークとも呼ばれるが、バニラ香であるバニリンがフレンチオークの数倍含まれてるし、ココナッツ香であるオーク・ラクトンが多く含まれている。これは、樽を乾燥させる際、アメリカンオークは人工的に加熱して乾かすのに対して、フレンチオークは雨ざらしにして自然乾燥させるため、オークラクトンなどの香気成分や苦味の元であるタンニン流れ落ちてしまうため。同じような製造方法で造ったら、アメリカンオークもフレンチオークも、あんまり変わらないという話もある。

アメリカンのほうがアイスクリームっぽいふわ~っとしたココナッツ香がする

まーくん
フレンチのほうは?
ワインヌ先生
んー樽を使ってる時点で良いワインが多いんだが、バニラビーンズの微かな香りにスパイシーさのほうが際立ってるかなあ。しっかり嗅がないとわからない場合もあるくらい繊細
まーくん
ふむふむ
ワインヌ先生
あと、フレンチオークでも材木の樹齢が200年から300年(!)と高いアリエオークはタンニン弱め1樽の値段がアメリカンオークの倍する(※)んだと
※ アメリカンオークは1樽5万円、アリエオークが10万円とのこと。これはフレンチオークの材料となる木材がアメリカンオークのそれよりも多孔質で液体を通しやすく、楔を打ち込んで製作しなければならない上にムダが多く、丸太1本から製作される樽の量がアメリカンオークの半分であるため。
ワインヌ先生
ちなみに珍しいけど、ミズナラ樽で熟成したワインもある。ココナッツと白檀のオリエンタルな香りがするらしいぜ
まーくん
塩尻のマスカット・ベーリーA(※)ですか、気になる!
※ 長野県塩尻市はワインの銘醸地で、ベーリーAはタンニンが少なく軽快なワインになることが多い。美味しいですよ。

焼いた樽で熟成?

ワインヌ先生
樽の内壁を焼くこともある。

これはト-ストといって、木材に化学的な変化をもたらして、貯蔵したワインに風味を持たせる。

ライトに焼くかミディアムに焼くか、それともヘヴィーに焼くかで全然違う

まーくん
焼き具合でどんな違いがあるんですか?
ワインヌ先生
ライト、つまり軽いと、オーク材のポリフェノールやまろやかなオーク成分がより抽出されてヘヴィーになるほど焦げた香りやコーヒー、クローブなどのスパイスの香りが強くなるんだな
まーくん
へ~!
ワインヌ先生
ボルドーの上級シャトーはトーストにめちゃくちゃこだわりを持ってるんだが、新樽を使うことにもこだわりをもってる
まーくん
あ、セカンドワイン(※)とかの説明に書かれてたりしますね
※ ファーストラベルでは新樽率60%に対して、セカンドラベルは30%にしているメドック2級シャトーのモンローズなどがあります。
ワインヌ先生
樽は使われ続けて3年もしたら古樽と呼ばれるんだが、新樽のほうが樽の影響が強く出るから複雑でインパクトの強いワインになる。

しかし、一定期間新樽で熟成した後は、風味が付きすぎてワインがぶち壊しになったり、酸素透過率も新樽のほうが高く酸化速度も速いから、わざわざ古樽に移すこともあったりする

まーくん
そこは各生産者のテクニックの見せ所ですね
ワインヌ先生
そうだな~。
しっかし、樽のトースト加減だの新樽率だの、ワインの造り手は大変だな
まーくん
ですねえ。
個人的に、樽熟成のワイン大好きなんで、もっと探していきたい感じです

 

 
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