はじめまして。ワインエキスパートの酒野と申します。ここはワインヌ先生というワインに結構詳しい犬アイコンの人と、ワインであわよくばモテたいまーくんという人がワインについて勉強したり雑談したりするサイトです。
ワイン初心者の人にもなるべくわかりやすいように、私・酒乃が注釈を入れつつお送りしたいと思います。
なるべく正しい情報をお伝えするつもりですが、もし間違いなどありましたら【お問い合わせ】からご連絡いただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
【更新情報】
2017年11月8日公開。
2018年2月1日修正・追記。
はじめまして。アイコンはトイプードルでですが、中身は耳年寄りです
半分マジ。ガチのワインオタクの話は、普通の人にはお経と変わらんから
気を取り直して、今日はワインの楽しみ方教えてくれるんですよね?
そうそう。
ところで飼い犬・エリザベス(仮)の写真をアイコンにしたんだけど、見るたびにかわいくて癒やされる
はいはい、じゃあ今日はワインの楽しみ方っていう基本の基本を少々
ワインを「楽しむ」?
さて、ワインを「楽しむ」って言ったらどんなことをイメージする?
そうですね……飲んで酔っ払って皆と楽しくワイワイ騒ぐとか
え、じゃあ、バスローブ着て、ぼってりしたグラスに赤ワイン入れてくるくる回しながら葉巻吸って悦に入るとか
世間のワインのイメージってこんなもんだと思いますよ
まずは香りを嗅いでみる
ワインってのは、風味や舌で感じる味わい、のどごし、時間の経過で酒がどう変化するかを楽しむ酒。だから、まずはワインを注いだらグラスに鼻を突っ込んで思い切り吸ってみろ
本日のワインはブルゴーニュのシャルドネ100%の白ワインです。by酒乃
だな~。レモンや蜂蜜、メロンにパイナップル、あとはスモークとかちょっとミルクっぽい香りなんかもあるんだが、1つでも嗅ぎ取れたらばっちり。鼻が正常に働いてる証拠
ワインにレモンの果汁を入れてるってことなんですか?
そう思う人は多いけど、答えはNO。レモンの香りってのは、何かしらの成分(※)が「レモンの香り」ってものを印象づけてるだけ。だから、同じ成分が含まれていたら、レモン本体が入ってなくても同じ香りがするんだな
※ シトロネロールなど。レモンやグレープフルーツなどに含まれる香りの成分。香りによって成分は異なります。
だからワインには他にもグレープフルーツだったり洋梨、アプリコット、桃、パッションフルーツ、マンゴー、赤ワインだったらラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、カシス、乾燥イチジクなどの香りが含まれてたりするんだ。果実だけじゃなく、石灰、貝殻、火打ち石なんていうミネラル系の香りから、さっき言ったスモーク、石油、きのこ、あずき、吟醸香(※)なんていうものまで様々
※ 吟醸香とは日本酒の吟醸や大吟醸にある独特の香り。成分的にはエチルヘキサノエイト。
だろ? だから、ワインの楽しみ方っていうのは、まずはそんな香りを嗅ぎ取ることにある。ちなみに、グラスをくるくる回すと(※)香りが変化していくんだが、これも醍醐味のひとつ
※ グラスをくるくる回すこと→スワリング。右利きなら反時計回りが一般的。理由は、誤って他の人に浴びせないように。
高いワインほど香りが多い
一般的には高いワインほどいろんな香りがする。そして、その香りの持続時間も長い。とは言え、化学的なものでそれを補っているわけでもない
まあ、トイレの消臭剤のシトラス(※)って、ずっと香ってますよね
※ シトラスとはダイダイを原料にした食品、柑橘類。
ぶっちゃけ嫌いじゃないけどな、トイレの消臭剤。オレはキンモクセイ(※)が好きだったなあ。しかし、ワインの香りは自然由来で人工的なものではない。洗練された土地やブドウの力、醸造法によって香りの質が決まる
※ 若い世代はトイレの消臭剤でキンモクセイの香りを連想しないらしいと聞いて驚愕しました。
じゃあ、ブドウにもランクみたいなものがあるんですか?
よくぞ聞いてくれた。ランクっていうのはいわゆる「格」のことで、ワインボトルに表記される土地の範囲が狭くなるほど原料となるブドウの格も高くなると考えていいぞ。国>地方>地区>村>畑(※)、とこんな感じ
※ 特級畑、1級畑以外でも畑名が書かれている場合、造り手に自信があることが多い=美味しいものが多いです。
ふむふむ。
じゃあ例えば、日本国の東京都の渋谷区の文化村のサブカル畑でブドウをつくってたとしたら、渋谷区の名前が入ったワインよりもサブカル畑の名前が入ったワインのほうが、原料となるブドウの質が高いってことですか?(※)
※ まーくんは本の虫なのでワイン初心者ながら実は田崎真也の本とか読んでたりして、割りとワインに詳しいのです。
ま、そんな感じだな。
ブルゴーニュの場合は、頂点に特級畑、次に1級畑があり、AOCに特級畑なら「Grand Cru」、1級畑なら「1er Cru」の文字が入る。これは国からのお墨付きである「超レベルが高いよ」「かなりレベルが高いよ」というワインだな
ワインを楽しむ上での注意点
なるほど。じゃあ、そういうとこでつくられたブドウを使ったワインほど香りの種類が多いってことですか(※)
※ 例えば香りがレモンとグレープフルーツだけのワインに対して、レモン、グレープフルーツ、吟醸香、きのこ、スモークまど複数の香りがするワインもあります。後者のワインのほうがたいてい高額です。
タバコ吸ってたり、ゴージャスな匂いがする柔軟剤、ヘアワックス、ファンデーションを使ってると、香りがわからないことがある
いるな、そういう人。本人が問題なかったら別にいいとは思うけど。喫煙者は普段吸ってるタバコの匂いありきでワインの香りを判別してるらしいけど、人によってはタバコ吸ってると鼻の粘膜が慢性的にむくんで嗅覚がガタンと落ちる場合もあるから注意な
これは別に直接吸うわけじゃないからなあ。その匂いに慣れきってるから問題ないって人がいる一方で、やめたらワインがより香るようになったからやめたって人もいる
なるほど。ワインそのものの香りを楽しみたいって場合は、ちょっとニオイつきのものから遠ざかってみて普段とはどんなふうに違った香りがするのか確かめてみてもいいかもしれませんね
そうだな。ちなみに日本ソムリエ協会のソムリエ・ワインエキスパートの二次試験(※)では香りの強い整髪料や香水を禁止する公式アナウンスを出してる。まあ、海外製のきつい柔軟剤もこれに含まれるとは思う
※ 一次試験は約600ページのソムリエ教本から出題された130問前後を約7割正答できると合格すると言われており、それに合格したら二次試験が待ち受けています。赤白それぞれ2種類ずつ、ワイン以外のお酒1種類を飲み(ワインエキスパートの場合)、生産国や収穫年、外観、風味、味わいなどをマークシートで答えるというもの。
ちなみにソムリエ・ワインエキスパートの2次試験では……
2次試験の話になると、タバコや柔軟剤の他に、カレーなどの強い香りの食事や、サンブーカ(※)みたいな強い香りの酒の後にワインをテイスティングすることは避けたほうがいい。全然香りが嗅ぎ取れないから
※ アニス系の透明な混成酒。ものすごい強い香りにむせるほど。珍しいですが黒いものもあるようです。
漫画『マリアージュ ~神の雫 最終章~』でもカレーとのマリアージュをやってたけど(※12)、ああいうのは例外として普通は避ける。スパイスで舌がバカになるからなあ。あと強い香りの酒でも特にハーブ系は、全く味がわかんなくなるから注意な。2017年のワインエキスパートの二次試験でサンブーカが出たんだが、「その他の酒」であるサンブーカになぜか最初に手をつけた受験生が泣いてた
※12 原作・亜樹直、作画・オキモトシュウのワイン漫画『神の雫』の続編『マリアージュ~神の雫 最終章~』3巻の話。ワインに焦点を当てた前作に対して、今作はワインとそれに合わせたメニューとのマリアージュ、すなわち食べあわせた際に新たに生み出される素晴らしい味とその出会いが描かれています。3巻ではカレーとのマリアージュでいろんなワインが登場。
ワインと同じ席で別の酒を飲むときは?
ワインを飲む席で、ビールを飲みたい場合ってどうなんですか?
ビールはオッケー。アルコール度も低いし、香りがそんなに舌に残らないからワインを邪魔しない。アペリティフにビール飲んで、次はワインって人も多いし
じゃあ、身につける香りと舌に触るものに気をつけてワインの香りを嗅ぎ分けることが、「ワインを楽しむこと」につながるんですね
そういうこと。
いろんな香りについて、「あ、これは○○の香りだ」とかわかるようになって、その原因が何なのか、そのワインはどこでつくられたものなのかがわかるようになったら楽しいぞ
このワインは……ブルゴーニュ! とか言えるようになったらモテそうですね!
ブルゴーニュのニュイ・サン・ジョルジュの レ・プリュリエのロベール・シュヴィヨン(※)とかまでわかったらモテると思う
※ フランス・ブルゴーニュ地方、コート・ド・ニュイ地区の最南にある村であるニュイ・サン・ジョルジュ。最上位のランクであるグラン・クリュ(特級畑)はないものの、それに次ぐ1級畑は多くあります。レ・プリュリエは1級畑でロベール・シュヴィヨンは名門ドメーヌ(造り手)。